中山研一博士 略歴・著作リスト

 [略歴]
1927年1月9日 滋賀県生まれ
1949年 旧制静岡高校卒業
       京都大学法学部入学
1953年       同   卒業
       京都大学大学院研究奨学生
1955年 京都大学法学部助手
1956年     同     助教授
1968年 法学博士(京都大学)
       京都大学法学部教授
1982年 大阪市立大学法学部教授
       京都大学名誉教授
1987年  大阪市立大学法学部長(〜88年)
1990年  北陸大学法学部教授
       大阪市立大学名誉教授
1997年  北陸大学退職
2011年7月31日 84歳で逝去


[中山研一博士 著書・編著書]  出版社名のないものは成文堂

 A<単著書>   
1958 @ ソヴェト刑法−その本質と課題/同文書院
1966 A ソビエト法概論・刑法/有信堂 =1964にTが、1965年にUが出版され、それらをまとめたもの
1967 B 因果関係−社会主義刑法を中心として/有斐閣(日本刑法学会選書9) =学位論文
1970 C 現代刑法学の課題/日本評論社
1970 D 現代社会と治安法/岩波書店(新書766)
1972 E 増補ソビエト刑法−その本質と課題/慶応通信(刑事法叢書3) =@の改訂版
1974 F 刑法総論の基本問題 =1971に第一分冊、1973に第二分冊が出版され、それらに3項目を追加しまとめたもの
1975 G 口述刑法各論(口述法律学シリーズ) →1980に第2版、1987に第3版
1977 H 口述刑法総論(口述法律学シリーズ) →1983に第2版
1978 I ポーランドの法と社会−東ヨーロッパ法の実態研究
1979 J 刑法の基本思想/一粒社(現代刑法学の課題) →1988に中国語訳が国際文化出版公司から出版、2003に増補版(成文堂選書41)
1981 K 刑法各論の基本問題
1982 L 刑法総論 →1995の第10刷でその後の刑法の一部改正に関連する部分のみに最小限度の修正と増補 ※
1984 M 刑法各論
1985 N 選挙犯罪の諸問題−戸別訪問・文章違反罪の検討(刑事法研究第1巻)
1985 O 刑法(全)/一粒社
1985 P 大塚刑法学の検討
1986 Q 刑法改正と保安処分(刑事法研究第2巻)
1987 R アブストラクト注釈刑法 →1991に第2版、1997に第3版
1989 S 脳死・臓器移植と法
1989 21 争議行為「あおり」罪の検討−判例の変遷とその異同の分析(刑事法研究第3巻)
1989 22 概説刑法T →1995に補正版、1999に第2版
1991 23 概説刑法U →1996に補正版、2000に第2版、2003に第3版、2005に第4版
1991 24 刑法の論争問題(刑事法研究第4巻)
1992 25 脳死議論のまとめ−慎重論の立場から(成文堂選書14)
1994 26 刑法入門 →1996に補正版、2000年に第2版、2010に第3版、2009に初版のクメール語訳がカンボジアで刊行
1994 27 わいせつ罪の可罰性−刑法175条をめぐる問題(刑事法研究第5巻)
1995 28 脳死移植立法のあり方−法案の経緯と内容(成文堂選書24)
1995 29 刑法諸家の思想と理論(刑事法研究第6巻)
1997 30 ビラ貼りの刑法的規制−軽犯罪法・屋外広告物条例違反事件を素材に(刑事法研究第7巻)
2000 31 安楽死と尊厳死−その展開状況を追って(刑事法研究第8巻)
2001 32 臓器移植と脳死−日本法の特色と背景(成文堂新書2)
2003 33 判例変更と遡及処罰−岩教組事件第二次上告審判決を契機に(刑事法研究第9巻)
2003 34 新版口述刑法総論 →2005に補訂版、2007に補訂2版
2004 35 新版口述刑法各論 →2005に補訂版、2006に補訂2版、2014に松宮孝明教授による補訂3版
2005 36 心神喪失者等医療観察法の性格−「医療の必要性」と「再犯のおそれ」のジレンマ(刑事法研究第10巻)
2005 37 心神喪失者等医療観察法の国会審議−法務委員会の質疑の全容(刑事法研究第11巻)
2005 38 定刻主義者の歩み
2008 39 違法性の錯誤の実態(刑事法研究第12巻)
2009 40 21世紀の刑事立法と刑事裁判(刑事法研究第13巻)
2011 41 新版概説刑法T =22の全面改訂版
2011 42 佐伯・小野博士の「日本法理」の研究(刑事法研究第14巻)

1987 43 一定刻主義者の歩み =非売品

1988 44 刑法・学説対立の根源を探る/早稲田経営出版(Article講演会カセットシリーズ1) =カセットブック

※西田典之、他編集『注釈刑法 第1巻総論』(有斐閣、2010)の凡例IIA頁には「中山研一・刑法総論<第10版>(1995)」とありますが、これは「刷」と「版」を間違えたものと思われます。

なお、浅田和茂「中山研一先生を偲ぶ」刑事法ジャーナル31号、2011年、においても「先生の業績は……単著だけで42冊」とされています。

 B<共著書>
1978 @ 現代の国家権力と法−現代法の諸問題V/筑摩書房(現代法学全集53) +山崎真秀、宮崎繁樹 =「治安と防衛」執筆
1983 A ソビエト法概論/有斐閣(双書) +藤田勇、畑中和夫、直川誠蔵
1984 B 治安と人権/岩波書店(現代法叢書) +杉村敏正、原野彪
1997 C レヴィジオン刑法1−共犯論 +浅田和茂、松宮孝明
2002 D レヴィジオン刑法2−未遂犯論・罪数論 +同上
2009 E レヴィジオン刑法3−構成要件・違法性・責任 +同上

 C<単編著書>
1977 @ 現代刑法入門/法律文化社
1992 A 刑事法小辞典 →1995に補正版、2003に第2版
1992 B 資料に見る脳死・臓器移植問題/日本評論社

 D<共編著書>
1970 @ 法と現代社会/有斐閣(法学基礎セミナー1) +片岡昇、乾昭三 →1973に有斐閣選書
1970 A 法学の基礎/有斐閣(法学基礎セミナー2) +片岡昇、乾昭三
1971 B 刑事政策講座第1巻 +宮澤浩一、西原春夫、藤木英雄
1972 C 刑事政策講座第2巻 +同上
1972 D 刑事政策講座第3巻 +同上
1972 E 性と法律−性表現の自由と限界 +宮澤浩一
1977 F 刑法各論/青林書院新社 +宮澤浩一、大谷実
1977 G 現代刑法講座第1巻−刑法の基礎理論 +西原春夫、藤木英雄、宮澤浩一
1979 H 現代刑法講座第2巻−違法と責任 +同上
1979 I 現代刑法講座第3巻−過失から罪数まで +同上
1982 J 現代刑法講座第4巻−刑法各論の諸問題 +同上
1982 K 現代刑法講座第5巻−現代社会と犯罪 +同上
1982 L 新版刑法概説T−総論/有斐閣(双書) +平場安治、井上正治、大野平吉 →1996に第2版
1982 M 新版刑法概説U−各論/有斐閣(双書) +同上
1983 N 医療事故の刑事判例 +泉正夫 →1993に第2版
1984 O 刑法T/蒼林社 +中義勝、吉川経夫
1985 P 総批判国家機密法−危機にたつ人権と民主主義/法律文化社 +斉藤豊治
1987 Q コンピュータ犯罪等に関する刑法一部改正(注釈) +神山敏雄 →1989に改訂増補版
1992 R 経済刑法入門 +神山敏雄、斉藤豊治 →1994に第2版、1999に第3版
1993 S 資料に見る尊厳死問題
/日本評論社 +石原明
1993 21 火災と刑事責任−管理者の過失処罰を中心に +米田泰邦
1994 22 刑法理論史の総合的研究/日本評論社 +吉川経夫、三井誠、内藤謙、小田中聡樹
1994 23 本音で語る脳死・移植−医と法の対話/メデイカ出版 +福間誠之
1998 24 臓器移植法ハンドブック/日本評論社 +福間誠之
2003 25 環境刑法概説 +斉藤豊治、神山敏雄、浅田和茂
2010 26 新版医療事故の刑事判例 +甲斐克則


内容による大まかな分類:

管理人が所有しているもの:ACDEFJLNPR21〜25,28,32,33,38〜44,B@CE,CA

以上に対する書評・紹介:
AC 大谷実  同志社法学117号、1970年
 G 沢登俊雄 法学セミナー1975年12月号
 H 熊谷烝佑 法学セミナー1978年10月号
 J 三井誠  法学セミナー1980年4月号
   斉藤誠二  LAW SCHOOL1981年2月号
 Q 川本哲郎 太田達也、他編『リーディングス刑事政策』法律文化社、2016年
 28 前田雅英 ジュリスト1993年6月1日号
 26 曽根威彦 ジュリスト1995年4月1日号
 33 米田泰邦 法律時報2002年1月号 =33に収録された論文の初出時の論文評
 39 川口浩一 関西大学法学論集58巻2号、2008年


<論文>
危険運転致死傷罪と業務上過失致死傷罪との関係(上)(下)−最近の判例を素材として 判例時報2011.7.11/7.21 =現時点で公表された最後のもの


[中山研一博士関連書籍]
『余呉の湖−中山研一教授還暦記念誌』中山研一教授の還暦をお祝いする会、1987年
「法学雑誌 第36巻3・4号−中山研一教授退任惜別記念号」大阪市立大学、1990年
『中山研一先生古稀祝賀論文集 全五巻』成文堂、1997年
『定刻主義者逝く−中山研一先生を偲ぶ』成文堂、2012年
『犯罪と刑罰 第22号 <特集>中山刑法学をふりかえって』刑法読書会(販売:成文堂)、2013年

また追悼文として、浅田和茂教授によるものが「刑事法ジャーナル31号」2011年に、松宮孝明教授によるものが「法の科学43号」2012年に、上野達彦教授によるものが「社会体制と法13号」2013年に、それぞれ掲載されています。


中山研一先生の告別式に出席するため日帰りで京都へ
2011年7月31日に84歳で逝去された中山研一(本名=乾研一)・京都大学名誉教授のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。


 管理人が直接お見かけしたのは大学院在学中の1989年、東京神田の学士会館で開催された比較法学会社会主義法部会で雑用係をしていた際に、出席されていた中山先生にお茶をお出ししたという1度だけですが、すでに中山先生の著書のいくらかを拝読していました。
 最近では先生のご著書について感想をメールで直接お出しした際にお返事を下さり、更に『定刻主義者の歩み』(成文堂、2007年)を出版された際に管理人への宛名付き直筆サインの入ったものをわざわざご恵送頂くという光栄にも浴しました。
 研究室の門下生や学部での受講生では全くなかった者ですが、
8月4日(木)午後2時から京都駅前にある公益社南ブライトホールでの告別式に参列させて頂きました。
 弔辞は上田寛・立命館大学法科大学院教授が読まれ、ご出棺前の最後の喪主挨拶では小児科医をされているご長男から、本年4月以降のご病状の経過とご本人のご様子、普段のご家庭でのお姿やエピソードなどが語られました。

午後4時前に式は終わり、その後はやはり中山先生の所縁の場所へということで、バスに乗って京都大学(吉田キャンパス)見学。神社仏閣を含め観光というものには全く興味がないのですが、ただ一応同じ古都でありながら、管理人の住んでいる鎌倉と京都はその町並みにおいて全く異なるということをごく僅かな滞在時間でも感じました。
 京都に行ったのは20年以上前、中学3年時の修学旅行以来2度目(名古屋より西に行ったことすら生涯3度目)で、今後も多分来ることはなさそうなので、中山先生が長年過ごされた京大の様子を心に印象づけてきました。 

京都の夏に接して思い出したのは、中山先生の『概説刑法T』(成文堂、1989年)の「はしがき」冒頭の、
京都の夏は今年も暑い。しかし、8月も下旬になり、高校野球も終わる頃になると、峠を越えた夏休みの宿題の後始末が気になりはじめる。そうすると、とくに日の経つのが早く感じられるものである。
 さて、この夏は、また新しい本の校正に時間を費やした。
……」
の文章でした。そして本年3月に出た同書の「新版はしがき」の最後には
本書が読者の要望に応えられるとすれば、来年は、引き続き、各論に当たる『新版概説刑法U』の執筆に着手し、全体を完成させたいと思う。
とありましたが、残念なことに全体の完成を我々読者が見ることは不可能となってしまいました。 =2011年8月4日


管理人が最も愛読している刑法学者である
中山研一博士の最新刊『佐伯・小野博士の「日本法理」の研究』(刑事法研究第14巻)が7月1日、成文堂より刊行されました(もっとも単著だけで40冊を超える中山博士の著書のうち所有しているのは約半数ですが)。
 なお序文1行目及び本文(2、65頁)に、『滝川事件』(2005年、岩波現代文庫)が言及されていますが、その著者名は「松尾尊允」ではなく「松尾尊~」が正しいです。
 ブログによれば中山博士は現在ご病気中とのことですので大変心配ですが、傘寿を超えてなお旺盛なご執筆意欲には敬服するのみです。刑事法研究シリーズの題を見ても、その内容の幅広さ(「違法性の錯誤」から「選挙犯罪」、「刑事立法」まで)は類を見ません。
 今回のご執筆テーマの1つである小野清一郎『日本法理の自覚的展開』(1942年、有斐閣)について管理人が知ったのは、「書斎の窓」1977年7・8月号<創業120周年記念特集号>のアンケート「印象に残っている有斐閣の本」にて平川宗信教授がこの本を取り上げられていたのが最初で(この中で平川教授は「戦時中の、国粋主義の色彩の濃厚な本書をここにあげることは、有斐閣にはいささか迷惑かもしれない」と書かれていますが、その後オンデマンド化されています)、また同書についての団藤重光博士による言及が『わが心の旅路』(1986年、有斐閣)327〜9頁にあるので、関心のある方は併せて読まれることをお勧めします。 =2011年7月7日
  
    中山研一博士の著書の一部(管理人の書棚より)、右端が最新刊
    左から8冊目『一定刻主義者の歩み』は、1987年の還暦に際して中山博士がお祝いのお返し用として作成された非売品でなかなか貴重なものかと思われます。
    その右隣の『定刻主義者の歩み』(成文堂、2007年)は管理人への宛名付き直筆サインの入ったもの。


012年2月に成文堂から『定刻主義者逝く−中山研一先生を偲ぶ』が刊行されました。
昨年7月31日のご逝去から約半年で、このような多数の方々からの寄稿による追悼文集の出版に、中山先生の生前の存在の大きさが窺われます。 

 
               
              
(成文堂早稲田正門店にて購入)
「刑法読書会」を中心とした関西刑法学の方々が多いですが、関東からも松尾浩也・東大名誉教授、内藤謙・創価大名誉教授(元都立大・東大教授)、西原春夫・早大名誉教授、曽根威彦・早大教授、川端博・明大教授、松原芳博・早大教授といった方々が追悼文を寄せています。



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