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管理人の雑記ページ

曽根威彦・早稲田大学教授の最新刊『我が刑法学の歳月』成文堂、が『古稀祝賀論文集』同、とともに刊行されました。
このたび古稀を迎えられ、3月で早稲田大学を退職される曽根教授が40年にわたる刑法研究者・教員としてのあゆみを記されたものです。
団藤重光、平野龍一両博士の追悼特集の雑誌に寄稿されたその刑法理論についてのご論考や、書き下ろしの「早稲田刑法学の軌跡」(草野豹一郎、江家義男、齋藤金作、西原春夫の各教授、そして曽根教授ご自身について)、以上は日本の戦後刑法学史に関心のある方々にとっては必読のものです。
またいわゆる随筆風のものも数本収められており、こちらは曽根教授のお人柄をうかがわせるものです。

1月の当サイトでも書いたとおり、最近管理人は曽根教授とちょっとしたご縁があり、今回は校正のお手伝いもさせていただきました。同書の「はしがき」には当方の名前も掲載していただき、大変光栄に思っております。

1月にご紹介した曽根教授の最新論文集『現代社会と刑法』ともども、是非多数の方にお読みいただきたいものです。
(なお『現代社会と刑法』に収録されている「公務員の政治的行為制限違反罪と職務関連性」は、憲法学の愛敬浩二教授により「私が最も感銘を受けた堀越事件の評釈」=法律時報2014年1月号、として紹介されていることを付言します)
              
<追記> 
2014年7月、
早稲田法学89巻3号が「曽根威彦教授、田口守一教授、田山輝明教授、栂善夫教授、堀龍兒教授 古稀祝賀退職記念論集」として刊行されました。
松原芳博教授による「曽根威彦教授の刑法思想−『現代社会と刑法』(2013年)に寄せて」も掲載されており、古期記念論集に収められた「曽根威彦教授の刑法理論」と併せ、曽根門下生の代表であられる松原教授による曽根刑法学の考察を知ることができます。


       2014−15年の管理人

2014年1〜9月までに新たに確認して当サイトのリストに追加した過去の両教授の論考の主なものは、以下のとおりです(いずれも単行本には未収録)。
<奥平康弘教授>
山田晟『ドイツ近代憲法史』の書評 1964
表現の自由についての論考 1967
岩波新書『現代法の学び方』の書評 1969
ロッキード事件と国政調査権についての講演録 1977
「見直し論」についての短文 1979
図書館の自由についての講演録 1987
日本国憲法についての論考(英文、かなり長いもの) 1987
ハーバー事件について 1989
大嘗祭についてのインタビュー 1990
宗教団体と出版社間の裁判についての論考(寺院向け専門誌に掲載) 1991−1992
PKO法についてのインタビュー 1992
性文化についての対談 1992
家永教科書裁判における1984年の証言録 2002
憲法九条についての講演録 2005

信濃毎日新聞については、「潮流」をはじめほぼ網羅できたと思います。
「潮流」欄(9件) 2002−2006
青少年条例について 2002と2006
改憲論議について 2003
「週刊文春」出版禁止について 2004
TV局へのテープ提供について 2004
岩波講座の講演要旨 2006

各種事典の項目執筆についても数点追加しました。
国民百科事典 1977
大衆文化事典 1991
歴史学事典 1996
日本歴史大事典 2000
情報学事典 2002

またこれまでは、両教授の著作リストは単行本・論考とも日本国内で公表されたものに限ってきましたが(国内の公表であれば日本語以外のものも掲載)、このたび奥平教授が国外で公表された論考などを数本掲載しました。
最高裁判所 1972
情報の自由 1983
人権の擁護 1990
筒井康隆氏の断筆宣言についてのル・モンド(フランスの新聞)紙上におけるコメントおよびその英訳版 1993

<樋口陽一教授>
河北新報の連載コラム(全26回) 1976
『憲法と国家』の今村仁司教授、および山口二郎教授による書評 1999
憲法と日本人についてのインタビュー 2000




         祝!セ・リーグ3連覇 原巨人  2014.9.26(金) 
横浜スタジアムにて読売ジャイアンツのリーグ3連覇の瞬間を見届けてきました。
一昨年、昨年も東京ドームでリーグ優勝の試合を観戦しており、原辰徳監督の胴上げの場にいることができたのは2007年も含め4度目です(2012年の日本シリーズ優勝も入れると5度目)。
横浜スタジアムでのプロ野球観戦は、藤田元司監督復帰1年目の1989/平成元年10月5日(翌6日にリーグ優勝決定)以来、なんと25年ぶり。当時は大学院生でした。
その間、東京ドームでは200試合以上巨人戦を観戦しており、横浜スタジアムもTUBE(1999年から今年まで16年連続)、小田和正、矢沢永吉、玉置浩二、いきものがかりのコンサート、さらに去年は母校の夏の甲子園・神奈川県予選の応援で来ていますが、やはり地元の球場でのこういった貴重な機会に来れたことは幸いでした。(写真は全て管理人撮影)
 巨人リーグ優勝 原辰徳監督 胴上げ

   

   

   
   下は今シーズン開幕戦のチケットです。                        鎌倉市民として、大変嬉しい看板です(横浜スタジアム・ライトスタンド上)。
 
 新年のご挨拶
   
           2015年も当サイトをよろしくお願いします。毎年恒例、地元鎌倉・豊島屋の鳩サプレー限定干支パッケージの画像です。
           左側のパッケージの右上、ミレー「羊飼いの少女」のパロディーなど、小ネタもあります。


     身辺雑記

管理人よりお知らせ

西川伸一・明治大学政治経済学部教授(国家論)から1月に刊行された『最高裁裁判官国民審査の実証的研究−「もうひとつの参政権」の復権をめざして』(五月書房)をご恵送頂きました。
 2010年のに刊行された博士論文『裁判官幹部人事の研究−「経歴的資源」を手がかりとして』(五月書房)は、法律時報2010年12月号の「学界回顧 司法問題」や山口進、宮地ゆう著『最高裁の暗闘』朝日新書、で取り上げられるなど、大変な労作かつ日本の司法に興味のある方には必読の書と言っていいかと思われます。
 このたびの「国民審査」に関する書も、「制度の成立過程」「全21回の分析」「組織的罷免要求運動」「審査広報」など様々な角度から分析されており、また 沖縄県での「罷免要求率の高さ」と「投票率の低さ」を取り上げられた章もあり、是非ご一読をお勧めします。
 著者の西川教授はこれまでも「内閣法制局」「官僚技官」「会計検査院」についての単著書を出されており、特に2005年『日本司法の逆説−最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち』(2005年)は図書新聞誌にて奥平教授による書評も掲載(当HPの奥平教授の論考欄参照)されている、管理人お勧めの一冊です(以上、出版社は全て五月書房)。また「週刊金曜日」での連載「政治時評」欄を月1回担当されています。
管理人はまだ直接お会いしたことはないのですが、学部の紀要に掲載された論文なども注目させて頂いています。 =2012年1月26日掲載
        

尾佐竹猛の著書における、鈴木安蔵との「共著」について    
管理人は2009年2月に、明治大学史資料センター編『尾佐竹猛研究』(2007年、日本経済評論社)所収の飯澤文夫「第9章 書誌調査からみた尾佐竹猛」に付載の「尾佐竹猛著書一覧」における1938年の『日本憲法制定史要』と1939年の『日本憲政史大綱 下』については、鈴木安蔵との共著書ではないかとの指摘を同社及び同センターを通じてさせて頂いたところ(その文章については→こちら)、筆者の飯澤様が2度にわたりそれに対するご回答を(恐縮なことに管理人の名を明記してその謝辞と共に)公表して下さいました。
 最初は2009年6月発行の同社のPR誌「評論」173号掲載の「尾佐竹猛と鈴木安蔵─書誌調査をめぐって」で、「時間や紙幅の関係もあって十分でなく、さらにその後の書誌調査でわかったこともあるので、改めて報告」されたのが、このたび同センターから刊行された『大学史紀要第14号』(奥付の刊行年月日は2010年3月31日)掲載の尾佐竹猛著『日本憲法制定史要』『日本憲政史大綱』についての検証」でこちらは全18ページにわたる詳細なものです。
 この点に関しては単なる事実関係の確認ということだけでなく、大審院判事も務めた尾佐竹の著書において共著者としてマルクス主義の立場に立った憲法学研究者である鈴木の名前が出されなかった理由・時代背景に当然大いに興味が注がれるところであり、関心を持たれたら是非お読み下さい。

 「評論」173号は日本経済評論社のHPにて読むことができます。『大学史紀要第14号』は副題に「三木武夫研究T」とあるとおり、明治大学卒業生で初めて(私立大学出身者では戦後2人目に)首相となった三木の特集がされているので、こちらに興味がある方にもお勧めします(同センターで800円で購入できます)。 

 また今回このような指摘させて頂いたのは、「みすず」編集部編『読書の現在−読書アンケート1980−1986』(1988年、みすず書房)を数年前たまたま古書店で購入したところ、その1986年の中塚明氏の回答で美作太郎『戦前戦中を歩む−編集者として』の存在を知り(314頁)、やはり古書店で購入したところその494頁以下の「『日本憲政史大綱』の成り立ち」にて興味深い記述があった、というのが最初のきっかけです。1965年に始まったという「みすず」新年号の読書アンケートは有名な特集ですが、それを何年分か集め合本の形で1冊にしたのは前出『読書の現在』のみのようですので、是非その前後の年の分も単行本化して欲しいものです。 2010年6月10日記
              




<2008年の書籍購入記録>

『特集 刑法典の百年−ジュリスト1月1・15日合併号』(有斐閣)2200円
冒頭、山口厚教授による100年間の全23回の改正の概観に続き、総論分野の「構成要件、違法、責任、未遂、共犯」につき10頁前後の論考はいずれも読み応えあり。また第3部「諸外国の状況」のドイツは井田良教授が執筆されていますが、単なるドイツ刑法(学)の現状だけでなく、日本の現行刑法の研究における比較法の意義といった観点からのもの。
 昨年出版された鶴見俊輔『たまたま、この世界に生まれて』(編集グループSURE)187頁にて、「「南原繁は誰の説を紹介したのか」と老政治家に尋ねられ、「ご自分で考えてこられた。それが南原先生のお仕事ではないでしょうか」と答えたがその老政治家は納得しなかった。「フィヒテを読んでいらっしゃいました」とか言えば話はわかるんだろうけど」という政治学者の京極純一教授の若き日のエピソードを読んだ時に、前田雅英教授が紹介された「故藤木英雄博士が刑法学会で報告された際、大家の先生から「君のそのような考え方は、リスト=シュミットの25版の何頁に載っているのか」と質問された」「当時最も権威があったドイツの代表的教科書に載っていない議論などを学会の場で展開してもだめだということ」という話(「パラダイムの転換」UP1998年6月号。なお前田教授による関連論考として「法科大学院とアカデミズム」UP2003年11月号)を反射的に思い出しました。西原春夫教授によると日本の刑法学会は「ドイツ刑法学会日本部会」と皮肉られることもある(『日本刑法学会50年史』有斐閣、2003年)そうですが、刑法学における比較法研究のあり方のより活発な議論に今後も接したいと希望しています。私がこのことに関心を持つきっかけとなったのは、青木人志「刑法解釈学と外国学説−独法にあらずんば法にあらずか?」『比較法史研究C』未来社、1995年、によって。
 なお前田教授は先の1988年の論考の最後を「刑事法学における「日本的なもの」を求め…たい」との一文で締められているので、これを読んだときは一瞬「小野清一郎(『日本法理の自覚的展開』)?」と思ってしまいましたが、これは電気窃盗や電磁的記録、凶暴共同正犯をめぐる判例や解釈を指されているようです(前田『刑法総論講義』(東大出版会)参照、最新の第4版は2006年)。
『昭和天皇』原武史(岩波書店・新書)777円
宮中祭祀とのかかわりの観点から描いた
評伝。各紙誌で紹介されていますが書評としては、佐藤優・文藝春秋4月号、岩井克己・論座4月号。
 著者は「みすず」2001年1月号の「2000年読書アンケート」にてHerbert P.Bix,Hirohito and the Making of Modern Japan=2001年ピューリッツァー賞受賞。邦訳としてハーバート・ビックス『昭和天皇 上・下』(講談社)2002年、現在は講談社学術文庫、を取り上げられその最後に「十年後までに、この天皇の本格的評伝が(今度は日本人によって)再び書かれることを予感した」と書かれていますが、10年たたずに自らその仕事の一部(ビックス本が邦訳書で上下合わせて700頁超なのに対し、こちらは新書なので「本格的」とまでは言えないかも知れませんが)をされたとも言えます。
 なおビックス本の邦訳書が出たときの書評として大嶽秀夫・読売新聞2002年12月8日、御厨貴・毎日新聞2002年12月15日、外岡秀俊・朝日新聞2003年1月5日、対談=安丸良夫、栗原彬・週刊読書人2002年11月15日号がありますが、これらでは特に著者の史料の扱いなどをめぐって評価がかなり割れています。そのような点を比べながら書評を読み比べるのも面白いかと思います。
『憲法 第4版』長谷部恭男(新世社・新法学ライブラリ)3622円
爆笑問題とのTV共演も果たした(NHK総合「爆問学問」2008年2月5日)長谷部教授の体系書の最新版。
 憲法学における同じ55年世代で正反対の立場に立つとされる松井茂記教授の『日本国憲法』(有斐閣)も第3版がほぼ同時に出ましたが、やはり55年世代の棟居快行教授によれば両書とも「法解釈でも科学的解釈でもないところの、日本国憲法を内側だけでむりやりにでも自己完結させる(その体系的一貫性を証明する)ことへの傾注が有力なトレンドとなっている」ことの具体例であり「日本国憲法を虚空に浮かび続けさせるためのもの」(「鏡の国の憲法学」現代思想2004年10月号)とされてしまいますが。「プロセス的憲法観」を前面に出される松井教授の場合と異なり、長谷部教授のものは「初版はしがき」で「もうひとつの(Alternative)教科書をめざす」とされていることもあり、必ずしも「体系的一貫性」にこだわるようではない気もするのですが。初版時の書評として、吉田善明・法学セミナー1997年4月号、蟻川恒正・法学教室1997年4月号、より詳しい検討として愛敬浩二「「読み替え」の可能性−長谷部恭男教授の憲法学説を読む」法律時報1998年2月号。
『憲法訴訟 第2版』戸松秀典(有斐閣)4200円
「憲法価値の具体的実現」をキーワードに2000年に法律学大系の1冊として出たものの新版。初版刊行時の書評として、野坂泰司・書斎の窓2001年5月号、土井真一・法学教室・2001年4月号。先のキーワードを題とした著者による講演録として、法学教室2001年10月号。また同誌同号の戸波江二「憲法訴訟論の現代的課題」では同書(初版)について「判例のあり方を客観的に論述することに主眼が置かれ、判例の違憲審査のあり方を批判してあるべき憲法訴訟論を展開するという視点に乏しいという問題がある」とされています。
 なおこの新版においても、53頁の政令201号取り消し訴訟の年号が初版の1929年のまま(正しくは1949年)だったり、464頁の伊藤正己『裁判官と学者の間』の出版年が1970年のまま(正しくは1993年)なのは残念(この本の書評も戸松教授がジュリスト1993年7月1日号にて)。469頁の現最高裁判事・藤田宙靖氏が藤田宇靖となっているのもどうかと。特に後の2つはかなり目立ちます。
『世界史をどう教えるか−歴史学の進展と教科書』神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分科会編(山川出版社)1890円
 発売直後、神奈川新聞の地元の本紹介といった記事で知ったのですが、南塚信吾・朝日新聞4月6日の書評で興味を持ち購入。「この三十年ほどの歴史研究の進展によって、高校世界史の教科書がどう変わってきたのか…を目的と」(はしがき)し、マルクス主義的発展段階論の影響力低下、以前は政治史に比べ遅れていた社会史の研究の発展、「国民国家」の普遍的なものとせず国民=民族は幻想、人種概念の有効性の喪失などによる歴史研究変化を知ることが出来ます。
『期待と回想−語り下ろし伝』鶴見俊輔(朝日新聞社・文庫)1365円
 =1997年に上下巻で晶文社より出たもの文庫化。晶文社本の定番の平野甲賀の装丁はそのまま。巻末の年譜はその後の10年分を加えてあるとより有難かったですが。
なお単行本刊行時における、本文最後の「慰安婦問題について」の記述をめぐって「みすず」誌上での川本隆史教授の論考とそれに対する藤田省三教授の反発に関しては、川本「不良精神とコミットメント−藤田省三の倫理学をめぐる断章」現代思想2004年2月号、参照。
『民法研究第5号』広中俊雄編集(信山社)3675円
「民法の理論的諸問題」に関する論文を編集の中心に1996年に創刊された『民法研究』誌は「第1巻」(その後「第1号」)に大村敦志教授の「民法と民放典を考える−思想としての民法のために」という雄編が掲載されスタートしましたが、その後は編者の広中教授が「編集後記」で嘆かれているように、原稿の入手の困難さなどにより逐年刊行という当初の計画通りではありませんが、この第5号には水林彪「近代民法の本源的性格」山本敬三「基本権保護と不法行為法の役割」の2つの本格論文が掲載されています。
 前者は『天皇制史論−本質・起源・展開』岩波書店、2006年(同書の詳細な書評として榎村寛之・『法制史論集57』創文社、2008年、所収。また「公法研究」69号の「<学会展望>憲法」にも高見勝利教授による論評あり)、などで知られる日本法制史学者によるフランス民法典(Code Civil)の考察、後者は民法と憲法の関係についての重要な論考を発表し続けられている民法学者による「不法行為制度を個人の基本権(憲法で保障された基本的人権)を保護するためのものとして位置づける」目的の研究の一環をなすもの。
 私は民法の個々の条文の解釈学には全く不案内ですが、山本教授の論考については以前から興味を持ち著書『公序良俗論の再構成』有斐閣、2000年、を始め雑誌掲載論文などもそれなりに目を通し、また2007年9月18日にはこの『民法研究』掲載論文と深い関連を有すると思われるテーマが掲げられた早大比研の講演会「基本権保護と契約規制の法理」も拝聴しました。こちらも早くの活字化を期待しています。
『週刊読書人5月2日号−創刊50周年記念号』340円
センターの7〜10面における「紙面でみる『週刊読書人』の50年」は読み応えあり。また1面の「私と週刊読書人」の欄に32年間同紙で連載し続けている田原総一朗氏が登場。
 古い本や資料をしまってある棚を探したところ、私が初めて購入した同紙は高校3年の夏の1982年8月16日号で、これは同号の特集=吉本隆明「「反核」運動の思想批判@」を読むためだったようですが(その少し前[アンケート特集]文学者の反核声明=私はこう考える、が掲載された「すばる」同年6月号を購入するなど、同年1月20日に出された「核戦争の危機を訴える文学者の反核声明」とそれに対する様々な反応に興味を持ってっていました)、残念ながらこの内容はほとんど忘れていました。ただ同号に載っていた田原氏の連載「ノンフィクションノート」の内容は今でも鮮明に覚えており、それは左翼本の紀伊国屋書店とも称された神保町のウニタ書舗が閉店するという話題で、70年代の学生運動が停滞して売上高が下降線を辿りポーランドの「連帯」が潰されたことで決定的に落ち最盛期の半分になった、つまり同店の盛衰は日本の左翼運動の盛衰を正確に反映してる、というもの。なにより印象的だったのは同店のエピソードとして、朝鮮戦争の緒戦時に日本に革命間近かの空気が強まると、(以下そのまま引用)「黒塗りの車に乗った大企業の経営者たちが次から次へやってきて、メジャーで測って、ごっそりと左翼本を買っていったということだ。メジャーで測ったのは、彼らの自宅の書架にきちんと収めるために、つまり、日本が赤化したときに、実は自分は以前から社会主義、共産主義に深い関心を持っていた、左翼のシンパだったというアリバイづくりのためなのらしい。日本の経営者たちの機を見るに敏なこと、というべきか。それにしても、結局、日本は赤化しなかったのだが、経営者たちは買い込んだ本を一体どうしたのだろう。」との記述。当時田原氏はポツポツテレビに出演され始めた時期ですが、この連載記事で私はその名前をはっきり認知したという印象があります。
『丸山眞男話文集1』丸山眞男手帖の会編(みすず書房)4830円
「丸山眞男手帖の会」
ついて例えば佐高信氏は「死後に丸山を神格化する動き」「偶像崇拝的なものを感じ」ると批判され(「世界」1998年1月号)、確かに本書における学部時代の「行政学試験答案」の収録などはなどはそういった感がなくもありませんが、しかし『現代政治の思想と行動』をまとめるにあたってなされた石田雄、藤田省三両氏との鼎談「戦後日本の精神状況」などはやはり活字化されて有難いものです。個人的にはこの鼎談と「聞き書き 庶民大学三島教室」の2つを特に興味深く読みました。
 なお「庶民大学三島教室」についてはこれをテーマにした荒川洋治氏の異色の(?)詩「心理」があります(『心理』みすず書房、2005年、所収)。私は詩、詩集については全く無縁の生活ですがこの本はたまたま自宅の母親の本棚にあり知りました。
『政局から政策へ−日本政治の成熟と転換』飯尾潤(NTT出版)2415円
サントリー学芸賞に続き読売・吉野作造賞も受賞した前著『日本の統治構造』ではほとんど固有名詞に言及しなかったのに対し、「時論」の延長としてこの20年余りの日本政治を政治改革の流れを振り返り全体として肯定的に評価したもの。書評として、久保文明・朝日新聞5月18日。
『法律時報6月号−特集・憲法理論の新たな創造』(日本評論社)1600円
『「国語」入試の近現代史』石川巧(講談社・選書メチエ)1575円
特に大学入試の「現代文」に焦点をあて、それらが歴史的に国民の言葉をどう規定してきたかを追求したもの。書評として佐藤卓巳・読売新聞3月2日、石原千秋・日本経済新聞3月2日、斉藤美奈子・朝日新聞3月23日。
『別冊宝島1500号』650円
32年間分1500冊のブックカタログ。特集のタイトルにつられてたまに買うこともあった別冊宝島ですが、最近は「Jポップ批評シリーズ」で自分の好きなアーチストがテーマとなったもの(B’z、サザン、浜田省吾、小田和正、山下達郎&佐野元春、ZARDの号など)位しか購入しなくなりました。ただ古いもので今でも保存してあるのは47号の『保守反動思想家に学ぶ本』(1985年)。岩井克人教授をはじめとするなかなか豪華な対談が中心で、特に巻末の「保守思想家36人のリスト」は「学ぶべき点」や「左翼体験」なども含まれ便利でした。実際には何かを学ぶほどしっかり読んだわけではなく、リストにある山崎正和氏のキャッチフレーズが「闘う課長!」(勿論、同氏の著書『鴎外−闘う家長』をもじったもの)となっていて思わず吹き出したことくらいしか覚えていなかったりしますが。
『重点課題刑法総論』曽根威彦、松原芳博編(成文堂)2835円
15年前に初版の出た曽根著『刑法の重要問題 総論』(成文堂、1993年)は単独執筆による「論点もの」として川端、前田両教授の著作を意識しつつ執筆され、総論の30項目につき一定の立場から深く考察されたもので、曽根説の理解に役立ちました。本書は曽根研究室出身の研究者による共著の形で曽根教授ご自身は執筆はされていませんが、参考文献を各項目の最後に番号を付して掲げるという形式は引き継がれていて、重点項目ごとに参考文献を知るのにも便利です。内容はほぼ曽根説に近い立場(違法論は法益侵害説・結果無価値論に立ち主観的違法要素は否定、正当防衛において防衛意思は不要、過失犯論では旧過失論に与し、未遂犯論では実質的客観説(実行の着手)と客観的危険説(不能犯)など)から全16項目が検討されています。
 特に同書の松原芳博「罪刑法定主義と刑法解釈」は現代における刑事法・刑事法学のあり方を考える上で示唆に富む記述が多数あります。青少年保護条例・暴走族追放条例から不正競争防止法・金融商品取引法までその明確性・内容適正の原則について批判的に検討され(14頁以下)、前者に関連して地方自治法14条3項(条例の罰則制定権)の合憲性に疑問を呈され(3頁注)、また罪刑法定主義の民主主義的性格を過度に強調することに注意を促されて、国民の「体感治安」の低下や被害者感情への共感を背景とした最近の刑事立法化、重罰化を批判されて(3頁以下)います。 さらに裁判員制度の導入を目前に、従来裁判官の中で密接に結びついていた刑法の解釈と適用が今後は「解釈」は裁判官の権限で裁判員はその「適用」のみに参加するので、裁判員が価値的評価を要することなく事実の存否のみを判断しうるようにするためゆえに刑法解釈学の重要性を強調され(13頁)、世論による専門化批判の流れにおいて法律家により長年をかけて作り上げてきた公正な議論のための法的思考方法や法的概念への軽視を戒められる(7頁注)など、個々の刑法解釈論(犯罪論)に関心がなくとも是非読まれることをお勧めします。また松原教授による関連論考として「国民の意識が生み出す犯罪と刑罰」世界2007年2月号。
『格差社会と教育改革』苅谷剛彦、山口二郎(岩波書店・ブックレット)504円
創刊25年を迎えて装丁を一新した岩波ブックレットの1冊。教育改革をめぐる教育社会学者と政治学者の論考と対談。
 なおこれまで700冊を越える岩波ブックレットでは奥平、樋口両教授もそれぞれ何冊か執筆されていますが、それら以外で個人的に印象に残っているものとして、網野善彦『日本社会と天皇制』(1988年)、中村政則『近現代史をどう見るか−司馬史観を問う』(1997年)、福田歓一『丸山眞男とその時代』(2000年)、高畠通敏『市民政治再考』(2004年)=その後、高畠『現代における政治と人間』(岩波書店、2005年)に再録、更に資料的なものですが『荒れ野の40年−ヴァイツゼッカー大統領演説全文』(1986年)の5冊を挙げたいと思います。
『『鎌倉百人一首』を歩く』尾崎左永子、写真・原田寛(集英社・新書ビジュアル版)1050円
『鎌倉・江ノ電完全案内』(交通新聞社・散歩の達人MOOK)880円
近所の書店では鎌倉・湘南の関連本が常に多数置いてありますが、この2冊は地元民としても写真の美しさや内容の面白さで広くお薦めできるものです。鎌倉駅前の「島森書店」でも売り上げのそれぞれ1位と3位を占めている(神奈川新聞の記事による)のも納得です。前者の写真家の方は鎌倉の写真を取り続けられている地元では有名な方で、新書版というのは観光写真の大きさとしては本来ハンディですが、それを感じさせないものが多数掲載されています。
『比較と歴史のなかの日本法学−比較法学への日本からの発信』早稲田大学比較法研究所編(叢書34)4000円
2005年度から06年度にかけての連続講演会17本の記録(ただし原則として文語体で書かれている)。私が直接聴いた松尾浩也「日本における刑事訴訟法の発展」(2006年6月5日)、吉田克己「民法学と公私の再構成」(2006年7月10日)の他にも、杉原泰雄(憲法)、藤田勇(ソビエト法)、星野英一(民法)、大村敦志(民法)といったそれなりにその著書や論文を読んでいて是非聴きたかったけど都合が合わなかった方のもの、さらに井上達夫(法哲学)、大木雅夫(比較法)、潮見佳男(民法)、水林彪(日本法史)、村上淳一(ドイツ法)、藤倉皓一郎(英米法)といった幅広い分野における大家又は学会の中心におられる方のものが多数収録されており、冒頭の戒能通厚所長の「総論」にあるように「今日の我が国の法学の一つの理論的水準を示している」といえます。また「はしがき」にあるように、これまで刊行された2001年度から04年度までの講演記録3冊は「発行部数が少ないため、残念ながら限られた範囲にしか知られていない」とすればもったいないものです。更に本書についてはこれだけの執筆者と約650頁の分量で4000円というのはかなりお得とも言えます。
『<失われた時代>の高校生意識』海野道郎、片瀬一男編(有斐閣)2310円
『磯崎新の「都庁」−戦後日本最大のコンペ』平松剛(文藝春秋)2300円
新宿の新都庁の1985年設計コンペにおいて、勝者である師の丹下健三に挑んだ磯崎新の「もうひとつの都庁」をめぐる、建築学科卒業でかつて設計事務所に勤務したの著者によるもの。専門的な事柄についても素人にも分かり易い記述があり、大変読みやすい。
 早速、書評でもいくつか取り上げられており=橋爪紳也・朝日新聞6月22日、重金敦之・週刊朝日7月11日号、飯島洋一・日本経済新聞7月20日、鈴木隆之・週刊読書人7月25日号、御厨貴・読売新聞8月3日、松田達・論座9月号、その中にはいくつか厳しい指摘もありますが(日経、読書人)これも本書、著者への高い評価期待度の故でしょう。
購入した紀伊国屋書店では「理工学・建築」のコーナーにのみ置かれていましたが、その社会的な内容から見てもノンフィクションのコーナーに置かれるべきで、これは保田與重郎の処女評論集『日本の橋』を大書店に探しに行ったら建築書のコーナーに案内されたようなもの???
 本書では悪役の側で登場している丹下氏ですが、以前浜崎あゆみが国立代々木競技場の前に立っている表紙に惹かれて購入した『CASA BRUTUS』2004年9月号(マガジンハウス)の特集「DOCOMOMO 100 IN JAPAN−日本のモダニズム建築100選」を読み返して、同氏の近代建築における業績を改めて知った次第(ついでなから私が18〜19歳に通った明治大学和泉第2校舎もこの100選に選ばれていました。設計したのは当時明大教授の堀口捨己という方だそうですが)。
『税制改革の渦中にあって』石弘光(岩波書店)2310円
『中国名言選 一日一言』井波律子
(岩波書店)2835円
『物語イスラエルの歴史−アブラハムから中東戦争まで』高橋正男
(中央公論新社・新書)1029円
『みすず1・2月合併号−読書アンケート特集』
(みすず書房)315円
『憲法・古典・言葉−加藤周一対話集6』
(かもがわ出版)2940円
 =政治経済関連では後藤田正晴、都留重人、藤原帰一、文学関連では谷川俊太郎、石原千秋、小森陽一といった方々との対話。

『違法性の錯誤の実体−刑事法研究第12巻』中山研一
(成文堂)5250円
『SWITCH SPECIAL ISSUE 桑田佳祐2007−2008』
2100円
 
昨年大晦日の年越しライブDVD発売に合わせて出版された、07年のツアーを中心としたアーチストブック。地元民には嬉しい鎌倉でのフォトシューティングもあり。ジャイアント馬場との“共演”で話題となったCMの写真やライブドキュメンタリーも満載の、300頁を超える充実の一冊。なお231頁にアンコール1曲目の「漫画ドリーム」の歌詞が掲載されていて横浜は「議員宿舎」バージョンとなっていますが、私の行った12月27日(横浜アリーナ初日)は「大連立騒動」バージョンでした。古いものですが同誌2001年3月号『特集 桑田佳祐「夢を見る人」』も前年の「茅ヶ崎ライブ」(私も行きました)など、充実した記事と写真でした。
『悼詞(とうし)』鶴見俊輔(編集グループSURE)3465円
朝日新聞10月16日(木)でその刊行を知り早速三省堂書店神保町店で購入(記事には直接販売のみと有りますが、この出版社の本は同店と東京堂書店ではこれまでも販売していたので行ってみたところ予想通り)。初出時に読んでいたのはいずれも朝日新聞に載った丸山眞男、高畠通敏、小田実、赤塚不二夫の4人のもので、特に高畠のものに書かれた冒頭の秀才論と丸山眞男が「秀才だからつぶさないでくれ」と言ったというエピソードが印象に残っていました。また藤田省三のものは初めて読みましたがそこ書かれている竹内好の通夜の席での藤田と丸山のやりとり及びその後の吉祥寺のバーでの埴谷雄高による2つのエピソードは、論座2006年6月号の「書評・飯田泰三『戦後精神の光芒』」にて紹介されており、やはり印象的でした。

『アメリカの宗教右派』飯山雅史(中央公論新社・新書ラクレ)798円
大統領選での両陣営における宗教票への配慮の報道を見ても非常に関心を呼び起こされるテーマの本。既に渡辺靖・読売新聞9月22日や北田暁大・中央公論11月号にも書評がありますがさらに五百旗頭真・毎日新聞10月19日にて詳細な書評が掲載。最後の参考文献には昨年購入した 『アメリカの政教分離−植民地時代から今日まで』エドウィン・S・ガウスタッド、大西直樹訳(みすず書房)は載っていませんが、こちらも同時に読み返したいものです。
 「はじめに」にて著者はまず自らの信仰についてあるアメリカのジャーナリストの言葉を借りて「神は人類が生み出した最も偉大な創造物だと思っている」と告白されていますが(6頁)、個人的にも深く納得。

『自民党政権の終わり』野中尚人(筑摩書房・新書)798円
著者自身による紹介=「政治の多面性を捉えるために」ちくま10月号、「著者は語る」週刊文春10月2日号、にもあるように、江戸時代の官僚制なども踏まえた戦後の自民党一党支配システムの歴史と現状、小泉、小沢などへの評価。

『ヨーロッパ戦後史 下 1971−2005』トニー・ジヤット、浅沼澄訳(みすず書房)6300円
吉田徹・日本経済新聞9月14日、板橋拓己・論座10月号の両書評においてもこの書籍が出版されるや米国内で高い評価を得、質量共に圧倒的なものであるとの紹介。また出版ダイジェスト4月1日号には上巻にて解説を書いている長部重康氏による同書の紹介を兼ねた「ベルリンの「原体験」」が掲載。
 冷戦終結前後を中心に個人的に興味の高い時代から読んでいこうと思っているところです。

『私の昭和史・戦後篇 上』中村稔(青土社)2520円
『昭和天皇・マッカーサー会見』豊下楢彦(岩波書店・現代文庫)1155円
『学問の下流化』竹内洋(中央公論新社)1995円
『刑法総論 第四版』曽根威彦(弘文堂・法律学講義シリーズ)3307円
『岩波社会思想事典』
今村仁司、他編(岩波書店)3150円
『日本刑法学の歩みと課題』内田博文(日本評論社)5460円
『特集 国家は撤退したか?−ジュリスト5月1・15日合併号』
(有斐閣)2000円
『対論 憲法を/憲法から−ラディカルに考える』(法律文化社)
『天皇・天皇制をよむ』歴史科学協議会編
(東大出版会)
『象徴天皇の現在』
(世織書房)
『<失われた時代>の高校生の意識』海野道郎、片瀬一男編
(有斐閣)2310円

<古書>
『アデナウアーと吉田茂』大嶽秀夫(中央公論社・叢書/1986年)
『戦後思想の一断面−哲学者廣松渉の軌跡』熊野純彦
(ナカニシヤ出版/2004年)
『職業としての編集者』吉野源三郎
(岩波書店・新書/1989年)
『学窓の内と外』和田英夫
(日本評論社/1988年)
『学問とジャーナリズムの間』杉山光信
(みすず書房/1989年)
『大学改革−秩序の崩壊と再編』天野郁夫(東大出版会/2004年)
『法の歴史と思想−法文化の根柢にあるもの』石部雅亮、笹倉秀夫(放送大学教育振興会/1995年)
『国家目標の発見』神島二郎(中央公論社・叢書/197 年)
『大正デモクラシーの群像』松尾尊允(岩波書店・同時代ライブラリー/1990年)
『戦後保守政治の軌跡 上・下』後藤基夫、内田健三、石川真澄(岩波書店・同時代ライブラリー/1994年)
『法の解釈−ジュリスト増刊・基礎法学シリーズW』(有斐閣/1972年)
『概説ドイツ史 新版』望田幸男、三宅正樹編(有斐閣・選書/1982年)
『公法研究 第四十一号』(日本公法学会/1979年)
『法律学がわかる。』(朝日新聞社・AERA MOOKO/1996年)
『思想 1997年2月号−社会科学の方法』(岩波書店)
『戦後改革3 政治過程』東大社研編(東大出版会/1974年)
『日本近代思想史における法と政治』石田雄(岩波書店/1976年)

2007年の書籍購入記録こちら


<2008年 注目した新聞・雑誌記事>
「いまこそ廣松渉を読み直す」連載第1回 佐藤優/情況1・2月号
 廣松の著書『今こそマルクスを読み返す』(講談社・新書/1990年)を否が応でも思い起こさせるタイトル。この書名の「今こそ」についてのエピソードは、例えば『廣松渉著作集15巻』(岩波書店)巻末にある小林昌人氏作成の年譜19頁参照(この年譜22頁で没後に戒名が付されたことを知ったのも、ある意味印象的)。膨大な廣松の著作の中で、この本と1994年の告別式の日に刊行された『マルクスの根本意想は何であったか』(情況出版)が入門書として最適か。哲学の知識は皆無でその分野の書籍も全く持っていない自分にとっても、例外として何故か廣松渉の名前が付いている書籍や記事だけは無視できないという存在。
 この連載の冒頭に「筆者の目的は、特殊な術語で展開された廣松の知的営為を、標準的なサラリーパーソンが理解することが可能な言語に転換すること」「読者としては、哲学についての専門的訓練を受けたこともなければ、左翼運動の活動歴もない、標準的…会社員をあえて想定している」とあるので、一応それに該当する者として大いに期待しています。


久野収の天皇制の論考について“勇み読み”していませんか<東大教授、苅部直氏への手紙> 佐高信/サンデー毎日2月3日号
 =苅部教授が朝日新聞1月5日朝刊「新・皇室制度論」で取り上げた久野収の天皇論をめぐって。取り敢えず「久野の没後刊行された著作集」の箇所は明らかな事実誤認との(この著作集の編者である)佐高氏からの指摘にどう応えるか? その上で久野論考の読み方についての両者の議論を聞いてみたいもの。朝日新聞の4月からの新たな対談企画のホスト役の一人は苅部教授とのことなので、例えばそこで実現してもらえればと思います。佐高氏の久野論については『面々接受』(岩波書店・現代文庫)があり。

書評文化守るために 丸谷才一/朝日新聞3月15日朝刊
 =「論座」誌最新号の書評特集とのいわゆるコラボ企画がどうかは不明ですが、鶴見俊輔氏に「丸谷才一の書く書評のレベルは高い」「日本の書評文化がいま保っている…丸谷才一などによって作られた高さ」(週刊読書人3月14日号)と評される同氏による書評論。丸谷氏といえば毎日新聞の書評欄「今週の本棚」ですが、その1992年の開始時のエピソードなどとして、丸谷氏と和田誠氏の対談「「今週の本棚」の十一年」が毎日新聞発行の小冊子『日曜の朝は今週の本棚』2004年、にあり。

法制審、なぜ伏せ字(市川美亜子記者)/朝日新聞3月22日朝刊
 =法制審議会の議事録の発言者の氏名が伏せられていることについて。
これに関連した民法、刑法それぞれの大家による論考として、星野英一「法制審議会−この知られざる存在」NBL1996年9月1日号と中山研一「刑法の改正と法制審議会」法律時報2005年4月号。前者は法制審議会民法部会長の筆者がその意義と制度・運用、批判に対する考察など9頁にわたりかなり詳しく論じたもの。審議会自体の公開には慎重な立場を、10年以上前においてですが、とられています。
 後者は2004年の刑法改正(法定刑の引き上げ)過程に関連して、議事録の顕名化と共に、法制審議会委員の学者委員の人選方法の改善(現在の法務省が個人的に委嘱する方法でなく学会推薦に)を求められています。

場38号−鶴見俊輔著『アメリカ哲学』特集
 =昨年出版された鶴見俊輔『たまたま、この世界に生まれて−半世紀後の『アメリカ哲学』講義』(編集グループSURE)の「はじめに」は「私の最初の本『アメリカ哲学』は、半世紀のあいだ出版社を何度もかえて生きのび、ついに息絶えた。」で始まりますが、しかし本年1月同書はこぶし書房より再び刊行されました。その際同社のPR誌に加藤周一、上山春平、加藤典洋(論座2008年6月号には同氏の『鶴見俊輔書評集成』全3巻の書評も掲載)、小熊英二など著者と様々な関わりのある方々による文章が(いずれもそれ程長いものではありませんが)掲載されたもの。なお同誌は大手出版社のPR誌と異なり一般に入手は困難ですが、私は13年前に1995年刊行の宇野弘蔵『『資本論』と社会主義』のちょっとした感想を綴じ込み葉書に書いて送ったところそれが同誌に掲載され、それ以降出版社より送付してもらっています。

リベラリズムをめぐる「回想」と「思索」−<書評>松沢弘陽、植手道有編『丸山眞男回顧談』を読む 宮村治雄
/思想5月号
 =丸山没後10年の2006年に出版された同書は出版直後から各メディアで取り上げられ(書評として竹内洋・読売新聞同年9月19日=上巻が対象、加藤哲郎・週刊エコノミスト10月31日号、三谷太一郎・日本経済新聞12月10日、赤澤史朗・朝日新聞12月17日、道場親信・週刊読書人2007年1月19日号)、宮村教授自身も同年11月26日信濃毎日新聞に書評を寄せられていますが、これは研究会での報告を元にした書評論文ともいうべきもの。同誌102頁における評者の指摘により、改めて同書下巻の22章「ポスト戦後と学問の将来」を読み直し、政治学だけでなく法律学の方法論などについても示唆に富んでいることを改めて確認。
 なお私は宮村教授の名前を数年前まで存じあげなかったのですが、田口富久治『丸山眞男とマルクスのはざまで』(2005年、日本経済評論社)の「あとがき」にてその著書『日本政治思想史−「自由」の観念を軸にして』(2005年、放送大学教育振興会)と共に知り、早速購入し放送大学のラジオ講義も出来る限り聴いていました(本年度も1学期は木曜20時45分〜)。同書は「みすず」2006年1・2月号の読書アンケートでも田口教授のほか原武史、松沢弘陽、飯田泰三の各教授(いずれも日本政治思想史)が取り上げられ、また思想2006年7月号で成澤光教授、外交フォーラム2005年9月号で苅部直教授の書評が掲載されるなど(特に前者は9頁にわたる詳細なもの)、放送大学教材としては異例の扱いをされています。
 宮村教授の論考として私が読んだものはまず『丸山眞男『日本の思想』精読』(2002年岩波書店・現代文庫)があり、他に「ある情景」図書1996年10月号、「丸山眞男の初講義」UP1998年7月号、「戦後天皇制論の諸相−「自由」の内面化をめぐって」中村政則、他編『戦後日本−占領と戦後改革3 戦後思想と社会意識』(1995年、岩波書店)所収、「或る普遍主義者の戦後経験」思想2003年9月号、「思想史研究の三準則」みすず2003年9月号(この2つはいずれも藤田省三への追悼文)、「解説」『藤田省三対話集成3』みすず書房、など。

<書評>同時代学会編『日本国憲法の同時代史』 (O)/図書新聞5月24日号
昨年日本経済評論社より刊行された論集の中から、特に根津朝彦「『中央公論』編集者の配置と思想」を取り上げて論評。この根津論文は吉野源三郎が長らく編集長を務めた『世界』と比べて、1946年から1972年の間に10人の編集長がいた『中央公論』誌が特に「風流夢譚」事件を前後してどのような変容があったのかを分析したもの。
 根津氏はこの事件以降の同誌の特徴は「粕谷一希が論調を主導したこと」とされていますが、粕谷一希『作家が死ぬと時代が変わる−戦後日本と雑誌ジャーナリズム』(日本経済新聞社、2006年)は『中央公論』誌のみならず戦後の論壇史、言論史の一面を臨場感豊かに語ったもの(書評として馬場啓一・北海道新聞2006年8月20日、陣内秀信・朝日新聞9月17日、津野海太郎・論座11月号)。林健太郎と丸山真男への評価(74頁以下)、高坂正堯と坂本義和氏との交錯(125頁以下)、更に江藤淳との決裂にみる「文壇も一つの権力」との記述(213頁以下)は興味深く読みました。同書の刊行を機になされた粕谷氏へのインタビュー=週刊読書人同年12月1日号、との併読を勧めます。

<書評>内藤謙著『刑法理論の史的展開』 伊東研祐/刑事法ジャーナル12号
法科大学院の開設をきっかけとして、法学教室誌は誌面変更で「書評」欄がなくなってしまい、ジュリスト誌も「書評」欄の掲載頻度が少なくなったので、もしこの論文集の書評が載るとすれば刑事法ジャーナル誌くらいだろうと思っていましたが、評者については色々と想像していました。伊東教授はその「法益論」がこの著書の収録論文において検討対象とされているわけですが、この書評では「法益概念規定・定義」においては内藤教授のものと自らのものとは「理論学的次元では実質的に相当に近似している」と結論付けられています。なお今から20年前のことですが、町野朔教授は伊東教授との対談で、伊東『法益概念史研究』(成文堂、1984年)について「法益というのはナンセンスで・・・いろいろ追究した結果、実は法益というのは無内容ではないかというのが著者の議論」とされ、伊東教授も一応(?)肯定されています(法学セミナー1988年5月号)。



<管理人の独白>
母親が知人から貰った「サライ」(小学館)の5月号(大特集・「おくのほそ道」を旅する)を何気なく見ていましたが、芭蕉というと俳句には全く疎い私でも知っている「夏草や兵(つはもの)どもが夢の跡」についてハーバード・ノーマンの「この忘れがたい憂愁の詩は、暴力だけで「歴史を作る」試みのまったき空しさを語っているかに思われる」(「クリオの顔」世界1950年1月号、原題「On the Modesty of Clio」、大窪愿二訳)という記述を思い出します。
 数年前はアメリカによるイラク派兵の是非といったことと絡めて考えていたりしましたが、それよりも優れた歴史家による短い文章でのひとつの著名な句に対する洞察力の鋭さ、凄さを改めて感じています。                                               =2008年4月28日

フジテレビ系「SMAP×SMAP」はかなりの高視聴率かつ長寿番組らしいですが、私はかつて見たのは松山千春さんとタモリさんがそれぞれゲストだった2回だけ。3回目として本日の「名曲歌謡祭」は非常に懐かしく楽しませてもらいました。久保田利伸さん、杏里さん、甲斐よしひろさんが特に良かったですが、一番印象的だったのはバービーボーイズの「女ぎつねon the Run」。紅一点の杏子さんは最近はAugusta Campの一員としてしばしば見ますが、バンドとしては解散後テレビでの再結成は初めてということで、男女ツウィンボーカル+KONTAさんのソプラノサックスをフューチャーしたサウンドの新鮮さは変わらず。ただCDを買ったりライブに行ったりした事はなかったので、ベーシストが現在浜崎あゆみさんのバックバンドの一員として有名なENRIQUEさんだったというのは今回のテレビで初めて知りました(ギターのヨッちゃんこと野村義男さんは学年的に同じということもありたのきん時代からテレビで見ていましたが)。確かバービーは東京ドームでも開業した1988年にコンサートを行っており、そのときのコピーは「バービーの勢いを止めるのは巨人か阪神か」だったような記憶が。                                                      =2008年4月21日

ここ数日、2006年6月の奈良県放火殺人事件の少年供述調書流出に関する「講談社第三者調査委員会委員長」として報告書の公表(4月9日)や、2004年1月の防衛庁立川宿舎での自衛隊イラク派兵反対ビラ配布事件の控訴審の逆転有罪判決(2005年12月9日)の最高裁上告棄却による確定(4月11日)について表現の自由の関係とのコメントなどで、奥平教授の名前やお顔を新聞やテレビニュースで続けて拝見していすまが、後者に関しては住居侵入罪の保護法益といった刑事法学からの観点からの検討も重要かつ興味深いものかと思います。
 例えば曽根威彦「ポスティングと刑事制裁」(研修2006年11月号)は控訴審判決を批判する立場から書かれ、私の大学の同級生で個人的にも親しくしてもらっている法務総合研究所教官(元検察官)による友添太郎「ビラの配布と住居侵入罪」(研修2007年3月号)は曽根論文に対する批判を通じて控訴審判決の正当性を論じる目的のもの。さらに中山研一「刑事法学の動き」(法律時報2007年11月号)はビラ配布の自由と受け取らない自由といった憲法問題も含めて友添論文を批判的に検討され、前田雅英「可罰的違法性と住居侵入罪」(研修2007年6月号)は慎重な言い回しながら第一審の無罪判決に疑問を呈されています。
 さらに仮に有罪であるとしても科された刑が罰金(10万円と20万円)であるこの事件において(前掲・前田論文も「「このような事案で実刑は酷だ」ということに異論は少ない」とされています)、75日間もの拘留が果たして正当だったかという刑事手続面からの検討も必要かと思われます。      =2008年4月12日


<2008年 ライブ行脚記録>
1月27日(日)スターダストレビュー/神奈川県民ホール
2月 2日(土)ZARD/パシフィコ横浜国立大ホール
2月 3日(日)KAN/横浜BLITZ =ツアー初日、3月14日のツアーファイナルは、M−ONでの生中継。
2月17日(日)佐野元春/神奈川県民ホール
 =メンバー紹介におけるG.佐橋佳幸さんの紹介では、佐野さんから特にコメントはなかったにもかかわらず客席からは当然のごとく祝福の拍手が。
2月23日(土)MISIA/横浜アリーナ =ツアーファイナル。
2月27日(金)LIVE R35/東京国際フォーラム 
 =CD収録曲の内、発売当時にシングルCDで購入したのはJAYWALK「何も言えなくて…夏」、class[夏の日の1983」の2曲だけで、いずれも当日生で演奏されました。
3月12日(水)スピッツ/神奈川県民ホール
 =FC席でもないのに1階12列目というかなり間近の席、収録用カメラも入っていた。これまでのツアーと同様、シングル曲は少なかったけど盛り上がりは相変わらず。中盤に演奏された「楓」は卒業式のシーズンには特に印象的。結成20年目の昨年作成された、会場限定販売のオフィシャルデータブック(3800円)も充実。
4月25日(金)B’z/さいたまスーパーアリーナ
 =今後ライブに行かれる方は、開演前にステージと客席の最前列の間のほぼ中央部に置かれているものに注目。
5月19日(月)松山千春/神奈川県民ホール 
5月21日(水)TUBE/神奈川県民ホール
 =ファンからのネットでのリクエスト曲をもとに演奏曲を決めるという、前田さん曰く「ジュークボックス」状態のツアー。春に聞きたい曲ということで募集したにもかかわらずバラードやマイナー調の曲が多かったのにはメンバーも意外な様子。私のリクエスト曲(つまりTUBEの数ある名曲の中で最も好きな曲)は1989年発売のアルバム『SUMMER CITY』収録の「週末ONLY YOU」(残念ながらリクエストチャートには入らず演奏されませんでしたが)。TUBEの曲はほとんどがG.の春畑道哉さん作曲ですが、これはDr.の松本玲二さん作曲のミディアムテンポの心地良いメロディーで、歌詞の「週末life only you 付加価値ばかり求め合う日々を 今宵はEscape」の歌詞がとても印象的です。「付加価値」といった経済用語を歌詞に使った曲はこれくらいではないでしょうか(勿論作詞は前田さんです)。
5月22日(木)小田和正/横浜アリーナ
5月27日(火)ZARD/国立代々木競技場第一
6月19日(木)小田和正/国立代々木競技場第一
7月20日(日)稲垣潤一/赤坂BLITZ
8月13日(水)小田和正/横浜アリーナ
8月16日(土)GARNET CROW/JCBホール
8月17日(日)サザンオールスターズ/日産スタジアム
8月23日(土)TUBE/横浜スタジアム
9月20日(土)B’z/日産スタジアム
10月10日(金)ASKA/武道館

2007年の書籍購入記録:
07年に購入した本のうちまずは新刊書について、書評情報なども含め一応備忘録として。
以下、全て2007年に刊行された書籍、雑誌のみです。日付などは特記ない限り全て2007年、新聞は「夕刊」とない限り全て朝刊、コメントなどは今後も追加していきます。書評情報など、ここに載っていないものがあれば、是非メールでお教え下さい。


               
                              パソコンの上も、なぜかお気に入りです。


−法学関係−
 <憲法学>
『世界憲法集・新版』高橋和之編(岩波書店・文庫)987円
『憲法判例百選T・第5版』高橋和之、他編
(有斐閣)2200円 
『憲法・第4版』芦部信喜、高橋和之補訂
(岩波書店)3150円
 朝日新聞4月22日の話題の本棚欄では「憲法60年」をテーマとした4冊のうちの1つとして取り上げられています。また法学教室2001年4月号では「特集 憲法を読む」の「教科書を読む」として、安念潤司教授により佐藤幸治『憲法』、野中他の共著『憲法T・U』とともに、憲法教科書の定番として解説されています(この論考当時に出ていたのは1999年の新版補訂版ですが)。安念教授は特に本書の第三章「国民主権の原理」が「抽象的な概念を憲法の具体的な文言に引きつけつつ説明し」「テキストを解釈する強靭な力量を示してさすがと思わせる」と評されています。
 
本書は芦部教授の逝去後の第三版(2002年)から高橋教授の手により補訂が加えられていますが、その方針としては原型には一切手をつけず、本文中の加筆・修正や本文外で補充説明を加えたときには記号をつける、というやり方を取られています。これに関連して椿寿夫教授(学部2年次に民法総則の講義を担当して頂いた)の『書斎の窓』2001年1・2月号以下の連載「法学名著の補訂」は興味深い論考でした(具体的に取り上げられているのは椿教授の専攻である「民法に関する体系書」ですが)。
『「共和国」フランスと私−日仏の戦後デモクラシーをふり返る』樋口陽一(柘植書房新社)1890円 
『憲法講座第1〜6巻』井上達夫、他編
(岩波書店)3675円×6
『憲法を生きる』奥平康弘
(日本評論社)2415円、ただし著者より謹呈。
『ジュリスト5月1・15日合併号−日本国憲法60年』
(有斐閣)2200円
 =掲載の座談会(佐藤幸治、高橋和之、他)については朝日新聞5月31日の杉田敦「論壇時評」にて言及あり。  

『法律時報7月号−日本国憲法施行60年』
(日本評論社)1800円
『憲法9条の思想水脈』山室信一
(朝日新聞社)1365円
 =司馬遼太郎賞受賞、その著者インタビューとして朝日新聞2008年2月7日。書評として四ノ原恒憲・朝日新聞8月5日、三上治・東京新聞8月5日、古関彰一・論座10月号。

『自由と特権の距離・増補版−カールシュミット「制度体保障」論・再考』石川健治
(日本評論社)4985円
 =10月15日に早大比研での著者と樋口教授とのシンポジウムにも参加。1999年の初版の書評として西原博史(長谷部恭男編『憲法本41』平凡社)、毛利透(『比較法史研究10号』未来社)。

『憲法諸相と改憲論−吉田善明先生古稀記念論文集』
(敬文堂)8400円
 =学部1年次の「法学」の講義を中村雄二郎教授などと共に担当して頂いた吉田教授も古稀で定年。長谷部恭男・東大教授をはじめとする、「吉田学校」の門下生以外の著名な憲法学者の方々からの論文が多数。

『法律論叢79巻4・5合併号−吉田善明先生古稀記念論文集』
(明治大学法学部)500円
 =高橋和之教授による米国の大統領予備選挙制度に関する論考が個人的には注目。 

『法律論叢79巻2・3合併号−野上修一先生古稀記念論文集』
(明治大学法学部)500円
 =学外からは教育法学の泰斗・永井憲一法政大学名誉教授が寄稿。

『RATIO 04−大特集 憲法とは何か』
(講談社)1890円
 =宍戸常寿「憲法改正とはどういうことか」、他。
 <刑事法学>
『変革の時代における理論刑法学』井田良
(慶大出版会)2940円
 =行為無価値・目的的行為論には与しないとしても、総論をテーマとした論文集として久々に熟読したもの。初出時に読んだのは95年の法教掲載の「犯罪論と刑事法学の歩み」だけでしたが。なおこの論文は著者によると「公表後全くと言って良いほど引用されなかった」(4頁)とのこと。書評として曽根威彦・ジュリスト11月1日号。違法性論において著書と逆の立場に立つ曽根教授は当然「違法二元論」に疑問を呈されますが(個人的にも賛同)、本書の価値は高く評価されています。
『刑法理論の史的展開』内藤謙有斐閣)12600円
 =大学院でも講義を担当して頂いた著者による、長年待望していた刑法理論史研究の集大成。個人的に本年最高の書。600頁以上と物理的にもだが、それ以上に内容的に重みと深みのある一冊。
『刑事訴訟法 補訂版』寺崎嘉博(成文堂)3465円
 =故・田宮裕博士のもの以来購入した刑訴の体系書。表や用語解説などに教育的配慮が子細に施された好著。
『刑法の争点』西田典之、山口厚、佐伯仁志編(有斐閣)2520円  
『定刻主義者の歩み』中山研一
(成文堂)1890円、ただし著者より謹呈。
 
<民法学>
『民法の争点』内田貴、大村敦志編
(有斐閣)3150円
『民法0・1・2・3条−<私>が生きるルール』大村敦志
(みすず書房)1680円 
 =2001年の『民法総論』(岩波書店)に続く、著者ならでは民法総論入門。
 <法学・その他>

『名もない顔もない司法』ダニエル・H・フット、溜箭将之訳
(NTT出版)1890円 
 =去年の『裁判と社会』に続く、同じ訳者・出版社からのもの。改めて寺西事件などを考えるきっかけとなる。

『法思想史講義(下)−絶対王政から現代まで』笹倉秀夫
(東大出版会)3990円 
 =著者による紹介として「開いた法学/閉じた法学」UP2008年1月号。

『法哲学と法学教育−ロースクール時代の中で 法哲学年報2006』日本法哲学会編(有斐閣)3990円
 =編者による紹介として大塚滋「法学教育学会の必要性」書斎の窓2008年3月号。

『ポケット六法 平成20年版』
(有斐閣)1890円

−政治学関係−
 <政治理論、政治思想、政治史>
『南原繁の言葉』立花隆編(東大出版会)2310円 
 =編者による大著『天皇と東大』(文藝春秋社)は大変興味深く読みました。加藤節『南原繁』(岩波新書)もまた読み返したいところ。編者による紹介として「南原繁の言葉と戦後レジーム」UP3月号。
『メディアと政治』蒲島郁夫、竹下俊郎、芹川洋一(有斐閣)1890円 
 =政治学者、社会学者と日経編集局長によるメディアと政治の関係の入門。政治取材やニュース制作過程など臨場感のある記述で読み応えがある。書評として五百旗頭真・毎日新聞5月13日、御厨貴・読売新聞6月3日、著者による紹介として芹川洋一「安倍内閣の支持率を考える」書斎の窓5月号。
『丸山眞男−日本近代における公と私』間宮陽介(筑摩書房・文庫)1155円 
 =「丸山眞男手帳の会」編集委員による1999年の著書の文庫化。著者へのインタビュー「丸山眞男と戦後60年の現在」が社会運動2005年9月15日号。原著が出た際の書評として米原謙・図書新聞1999年6月12日号、また田口富久治『丸山眞男とマルクスの間で』(2005年、日本経済評論社)114頁以下でも詳細に取り上げられています。
なお「丸山眞男を題名にした邦語書籍」一覧が、竹内洋『丸山眞男の時代』(2005年、中公新書)に載っており参考になります。

『政治学の名著30』佐々木毅(筑摩書房・新書)735円
『近代日本の社会科学−丸山眞男と宇野弘蔵の射程』アンドリュー・E・バーシェイ、山田鋭夫訳
(NTT出版)4410円 
 =以下の多数の書評においても評価は様々。竹内洋・日経新聞4月22日、加藤哲郎・エコノミスト4月24日号、伊藤光晴・毎日新聞5月13日、鈴木謙介・中央公論7月号、中野敏男・図書新聞7月7日号、都築勉・論座9月号。さらに福留久大「宇野と丸山の社会科学−バーシェイの日本解読」学士会会報867号、では、芭蕉俳句のパロディの宇野川柳「春浅き隣はなにをした人ぞ」(治安維持法で逮捕された際の作)を取り上げた箇所を論じるなど、9頁に渡るものだけに興味深い指摘も。なお同論文によれば、上記翻訳書の表紙にある真っ赤な富士は原書の表紙にはないとのこと。また原書刊行時の英文書評として、松田宏一郎・Social Science Japan Journal Vol.9,No.2(2006年)。
『「新左翼」の遺産−ニューレフトからポストモダンへ』大嶽秀夫(東大出版会)3360円 
 =著書による『戦後政治と政治学』『現代政治と政治学』(東大出版会)はよく読んでいました。最近は『アデナウアーと吉田茂』(中央公論社)をようやく古書店で入手。これも以下の多数の書評につられ購入、その中で宮崎評は他と違った視点からでかなり辛口。市ノ川容孝・日経新聞4月22日、間宮陽介・京都新聞4月29日、佐藤卓己・朝日新聞5月27日、宮崎学・論座6月号。著者の主要著作目録は法学論叢160巻5・6号に掲載。
『レヴァイアサン40号−政治分析・日本政治研究におけるアプローチのフロンティア』(木鐸社)2100円 
=創刊20周年記念号としてリアリティ接近の方法論特集。谷口将紀論文で触れられている85年のいわゆる「山口定・大嶽秀夫論争」関連の論考を再読するきっかけにもなった。紹介として朝日新聞8月23日朝刊文化面。
『日本政治思想』米原謙(ミネルヴァ書房)3360円 
 =著者の名前を知ったのは数年前の伊藤孝夫『瀧川幸辰』(ミネルヴァ書房)の図書新聞での書評にて。05年の放送大学テキスト・宮村治雄『日本政治思想史』と共にこの分野での手元に置いておきたい1冊。書評として赤澤史朗・朝日新聞5月20日。
『内閣制度』山口二郎(東大出版会)2730円 
 =行政学叢書の一冊。著者による関連論考として「統治機構の改革は政党政治をどう変えたか」UP10月号。
『国連の政治力学−日本はどこにいるのか』北岡伸一(中央公論新社・新書)924円 
 =国連次席大使2年半に書かれた文をまとめたもの。3大紙全てに掲載された政治学者による書評にもつられて購入。五百旗頭真・毎日新聞6月24日、小林良彰・朝日新聞6月17日、御厨貴・読売新聞7月15日、功刀達朗・論座9月号。
『集団的自衛権とは何か』豊下楢彦(岩波書店・新書)819円 
 =岩波新書の名著の一つ『安保条約の成立』の著者による集団的自衛権の歴史と、日米安保にかわる選択肢の提示。書評として我部政明・論座10月号。
『移りゆく教養』苅部直(NTT出版)2310円 
 =去年の岩波新書『丸山眞男』に続く著書。書評として橋本五郎・読売新聞10月21日、佐藤卓己・日経新聞10月28日、四ノ原恒憲・朝日新聞12月16日、著者インタビューとして毎日新聞10月28日。
『増補 皇居前広場』原武史(筑摩書房・学芸文庫)997円
 =『天皇・皇室事典』(岩波書店)の編者の一人でもある日本政治思想史専攻の著者による、明治以降の皇居前広場での定点観測史。新書で刊行(光文社)されたものの文庫化という多分珍しいパターン。紹介として五十嵐太郎「皇居をめぐる空間的想像力」ちくま12月号。
 <現代政治>
『小泉政権』内山融(中央公論新社・新書)861円
 =書評として小林良彰・朝日新聞6月17日。
『日本の統治構造−官僚内閣制から議院内閣制へ』飯尾潤(中央公論新社・新書)840円 
 =書評として御厨貴・読売新聞9月16日、五百旗頭真・毎日新聞9月23日。以上2冊と06年の竹中治堅『首相支配』は、中公新書の日本政治研究書3部作ともいえる。
なお以上3冊に大嶽秀夫『小泉純一郎 ポピュリズムの研究』を加えた4冊を対象とした書評として高安健将「日本における議院内閣制と首相の権力」レヴァイアサン2008年春号。
『ポスト戦後政治への対抗軸』山口二郎(岩波書店)2100円
 =関連の著者インタビューとして神奈川新聞・2008年1月19日(共同配信なので他の地方紙にもこの前後にも掲載されているはず)、書評として小林良彰・朝日新聞2008年2月10日。大連立騒動後の山口教授と姜尚中教授の対談が朝日新聞11月11日にあり。

−歴史関係−
『「過去の克服」と愛国心−歴史と向き合う2』朝日新聞取材班(朝日新聞社)1365円
『日本歴史・別冊総目録−1〜700号』
(吉川弘文館)2625円
 =なお同社のPR誌『本郷』5月号は創業150周年記念号として、社長インタビューなどを掲載。『本のとびら』2008年4・5月号にも社長インタビューあり。
『歴史学研究・別冊総目録−1933〜2006』
(青木書店)3150円
『アメリカの政教分離−植民地時代から今日まで』エドウィン・S・ガウスタッド、大西直樹訳
(みすず書房)2310円 
 =歴史・宗教学者によるものだが、米国の憲法や最高裁のあり方について関心のあるものとしては見逃せない書。書評として本間長世・日経新聞6月24日。
『選挙違反の歴史』季武嘉也(吉川弘文館)1785円 
 =納税額による制限選挙から普通選挙への選挙権の拡大はそのまま買収の歴史、と割り切るわけには行かないけれど、興味深い視角からの近現代史。書評として小林良彰・朝日新聞7月8日、東野裕人・神奈川新聞7月22日、著者による紹介として「「選挙」と「逐鹿」」本郷9月号。
『理性ある人々 力ある言葉−大内兵衛グループの思想と行動』ローラ・ハイン、大島かおり訳
(岩波書店)5985円
 =帯の「日本資本主義論争から美濃部都政まで」に惹かれて購入。書評として間宮陽介・日経新聞9月23日、加藤哲郎・エコノミスト9月25日号

−教育・文化関係−
『東京大学の歴史』寺崎昌男(講談社・学術文庫)1102円
 =1992年刊行の単行本の文庫化。東大とは全く縁がないけど、明治以降の大学制度史、さらに1990年代以降の大学の変革を加筆されており参考になる。
『科学5月号−≪競争≫にさらされる大学』(岩波書店)1400円
 =行政学の新藤宗幸教授など、人文・社会科学関係者の論考も含めて、法人化後の大学のあり様を考察。
『論壇の戦後史』奥武則(平凡社・新書)840円 
 =一応高校時代に図書室で「世界」などを読んでいた論壇の影響を受けた最後の(?)世代としては、とても面白く読めた一つの戦後史。著者が10年前に編集担当された『岩波書店と文藝春秋−「世界」「文藝春秋」に見る戦後思潮』の存在も思い出し、岩波本を主に扱う神保町の古書店で購入(この本自体は毎日新聞社刊ですが)。書評として中島岳志・信濃毎日新聞6月24日
『大学入試の戦後史』中井浩一
(中央公論新社・新書ラクレ)798円
 =AO入試の広がりと現状、国立大学の入試制度の変遷(1・2期校→共通一次試験→分離分割)などがその背景と共に分かり易く整理、解説されている。
『日本の大学総長制』島田次郎(中央大学出版会)2415円
 =日本中世史専攻の中大名誉教授による大学総長制の歴史と現状について。中大以外にも主要な国私立大学を取り上げており、大学制度に興味のある者として有難い書。
『秘伝大学受験の国語力』石原千秋(新潮社)1260円
 =受験参考書の面もあるけれど、前半の国語の大学入試問題史にひかれ購入。「塾禁止」を主張するノーベル賞受賞者の教育再生会議座長による「昔できたことがなぜ今出来ないのか」という趣旨の発言に対する、著者の「「今は昔ではないから」だ。論理的には、これでおしまいである。」(58頁)に深く納得。書評として河合祥一郎・読売新聞8月26日、紹介として竹内洋「著者ならではの攻略法」波8月号。
『大航海64号−近代日本の学者101』(新書館)1500円 
 =村上陽一郎、樺山紘一、三浦雅士の鼎談「学者の時代は終ったか」が特に面白い。
『日本人と英語−もうひとつの英語100年史』斉藤兆史(研究社)2100円
 =「文法よりもコミュニケーション」「小学校の英語教育」などに反対の論陣をはる英語学者によるもの。佐藤卓己・読売新聞11月18日の書評は「敢えて国民必読」として本書の主張に好意的。本書49〜50、188〜191、215〜219頁などでの著者の主張が主流となることを個人的にも願う。
『国語審議会−迷走の60年』安田敏朗(講談社・新書)798円
 =戦後の国語政策について「現在派」と「歴史派」の対立を軸に描写。予備知識の全くない者にも興味深く読める。
『昭和を騒がせた漢字たち』円満字次郎(吉川弘文館)1785円
 =この本の冒頭にある読売の社説(1945年11月1日)が主張するように「敗戦後漢字が廃止され」て「代わりにローマ字表記が採用されていたら」は、「ドイツと同じく米ソによる分割統治となっていたら」とは別の意味で興味深い「日本史のもしも」でしょうが(多分どちらも悲劇)、新憲法の公布とほぼ同時に内閣告示された「当用漢字」をめぐる戦後の様々なエピソード。書評として佐藤卓己・読売新聞10月22日、神奈川新聞・佐藤稔11月4日。

−人文科学関係−
『思想8月号−第1000号記念』(岩波書店)2200円
 =総目次だけでもかなりのボリューム。座談会「思想の100年をたどる」もこの号を第1回に不定期連載中。
『廣松渉−近代の超克』小林弘明(講談社)1260円
 =刊行時に何冊か取り敢えず買っておいた岩波の廣松渉著作集や最近出た廣松本のいくらかも余裕があれば読みたいところ。書評として柄谷行人・朝日新聞8月26日、丸川哲史・週刊読書人8月10日号、染谷武彦・情況2008年3・4月号、著者による紹介として「干渉する影」本7月号。また『RATIO 04』には著者による「近代の超克−竹内好と丸山眞男」があり、週刊読書人2008年2月15日号の佐藤優氏との対談「辺境への引かれ」も面白い。なお、逝去2ケ月前に公表された問題作(?)の「東北アジアが歴史の主役に」朝日新聞1994年3月16日夕刊、が収録された『著作集14巻』は持っていないことに気づき、取り敢えず図書館にてコピー。

−ノンフィクション−
『メディアと官僚』魚住昭(角川書店・文庫)540円
 =紹介として、佐藤優「“憤り”という名の愛」本の旅人5月号。
『右手に君が代、左手に憲法−漂流する日本政治』若宮啓文(朝日新聞社)1890円 
 =朝日新聞論説主幹による、2003年から07年のコラム「風考計」をまとめたもの。英文対訳も嬉しい。あとあと小泉・安部政権を振り返るときにも大いに参考になりそう。
『日本論・増補版』佐高信、姜尚中
(角川書店・文庫)540円
 =2004年の単行本に増補。対談なので読みやすいが、含蓄のある発言が多数。

『正義の罠−リクルート事件と自民党』田原総一朗(講談社)1575円
 =改めてあの事件とその後の政治改革に与えた影響などを思い起こす。書評として佐藤優・週刊読書人9月28日。
『宿澤広朗−運を支配した男』加藤仁(講談社)1680円
 =スポーツ関係の本としてでなく、優れた評伝との以下の書評につられて購入。個人的には、切り札として期待されながら早大ラグビー部監督を1年で退いたあたりのことも知りたかったですが。清家篤・読売新聞6月18日、後藤正治・神奈川新聞7月29日、佐山一郎・朝日新聞8月5日。
『国鉄改革の真実−「宮廷革命」と「啓蒙活動」』葛西敬之(中央公論新社)1890円
 =85〜87年当時は民営化はともかく分割にはかなり疑問を抱いていました(今も)。以下のように書評でかなり取り上げられているのを読んで購入したパターン。佐々木弾・日経新聞8月19日、清家篤・読売新聞8月26日、高橋伸彰・朝日新聞8月26日。
『官邸崩壊−安部政権崩壊の一年』上杉隆(新潮社)1470円
 =書評として野口武彦・朝日新聞9月16日、御厨貴・読売新聞10月21日。
『「改憲」の系譜−9条と日米同盟の現場』共同通信社憲法取材班(新潮社)1470円
 =04年から06年にかけて共同配信の連載企画として神奈川新聞にて読んでいたもの。紹介として森達也「ネコと麻婆豆腐と改憲と」波6月号
『靖国戦後秘史−A級戦犯を合祀した男』毎日新聞「靖国」取材班(毎日新聞社)1575円
 =1978年に靖国のA級戦犯合祀を就任3ケ月目で行った宮司と、その人事における元最高裁長官の存在など、興味深い史実。書評として鹿島茂・毎日新聞8月26日、赤澤史朗・朝日新聞9月23日、保坂正康・本の時間9月号。
『戦後日本は戦争をしてきた』姜尚中、小森陽一(角川書店・oneテーマ21新書)720円

−その他(随筆、総記など)−
『城山三郎の昭和』佐高信(角川書店・文庫)540円
 =『本の旅人』に連載され2004年に単行本化されたものの文庫化。著者が読売新聞に寄せた追悼文も「あとがき」に収録。
『城山三郎 命の旅』佐高信、内橋克人編(新潮社)1575円
 =城山氏とタモリさんとの対談(1983年)が特に読みたくて購入。佐高氏については『有鄰』8月10日号に座談会「城山三郎−気骨ある文学と人生」もあり。
『嬉しうて、そして…』城山三郎(文藝春秋社)1500円
 =日経の「私の履歴書」として準備された遺稿を含む随筆集。「「生死・宗教・病気・恋愛」以外でも文学足りうると思ってやってきた」(296頁)。書評として高橋伸彰・朝日新聞9月23日、清原康正・週刊読書人2008年2月1日号。城山さんの追悼出版物としては以上3冊を購入。なお城山文学については、朝日新聞4月18日経済面が参考になる。
『袖のポタン』丸谷才一(朝日新聞社)1365円
 =朝日新聞で月1回3年間連載されたものをまとめたもの。初出時に特に印象に残っていたのは「日本美とバーコード」と「政治と言葉」。長谷部恭男教授との対談「改憲論と御霊信仰」世界7月号、も面白い。
『たまたま、この世界に生まれて−半世紀後の『アメリカ哲学』講義』鶴見俊輔(編集グループSURE)2415円
 =この書籍は版元からの直接販売のみの扱いですが、例外的に神保町の東京堂書店(ここの店舗は平台の棚の低さがポイント)では店頭に並んでいてそこで購入。
『鶴見俊輔書評集成3 1988〜2007』(みすず書房)5040円
 =この書評集で取り上げられた膨大な書籍の中で実際に持っているのは飯田泰三『戦後精神の光芒』だけですが、それでも面白く読めてしまう。毎日新聞2008年1月6日に第6回毎日書評賞受賞記事中のインタビューと丸谷才一氏評、贈呈式の写真が『俳句』2008年3月号にあり。書評として矢口進也・図書新聞2008年3月8日号、加藤典洋・論座2008年6月号、著者インタビューが週刊読書人2008年3月14日号。
『鉄道ひとつばなし2』原武史(講談社・新書)777円
 =鉄道エッセイ集の2冊目。同社のPR誌『本』に10年以上連載中。私は鉄道には特に興味はありませんが、著者の歴史的な視角も含めた鉄道の見方に、いつも楽しく読んでいます。『本』の表紙も安野光雅氏ではなくなりましたが、この連載はずっと続いて欲しいもの。
『ぼくの歌・みんなの歌』森達也(講談社)1890円
 =『本』に2004年から連載されていたもの。連載終了してからやや間があったけど無事単行本化。個人的にはやはり「勝手にシンドバツド」が印象的。なお『本』12月号には特別編として「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」が掲載。書評として大熊ワタル・週刊読書人2008年2月29日号。
 各媒体で様々な分野の人たちと対談もされている森氏ですが、個人的に面白かったのは鈴木邦男氏との「「近代天皇制」と愛国心」WB2006年9月号
『70s日本の雑誌広告』、『80s日本の雑誌広告』(ピエブックス)3990円×2
 =70s版の書評のサエキけんぞう・朝日新聞4月8日、でこの本の存在を知り購入。この書評にもあるように70年代の雑誌のカラー印刷やメイクの技術向上がわかる。80s版では現在、中堅・ベテランタレントになっている方々の若き日の写真という楽しみもあり。ある年代以上の方にはかなり懐かしい本。
『日本のロゴ』(成美堂出版)1365円
『みすず1・2月合併号−読書アンケート特集』(みすず書房)315円
『岩波文庫の80年』岩波文庫編集部編
(岩波書店・文庫)1050円
『日本雑誌協会 日本書籍出版協会 50年史』
3000円
 =紹介として、野上暁・いける本いけない本第7号



LIVE!R35 セットリスト
(ナレーション/桜井幸子)
@夏の日の1983/class
A永遠の素顔
BHoliday
C愛という名の翼/山根康広
DGet Along Together
E?
F世界中の誰よりきっと/酒井法子(ゲスト)
G蒼いうさぎ
H愛が生まれた日/酒井法子、中西圭三
IWOMAN/中西圭三
JCho Cho Train
K?
LJUST BECAUSE/JAYWALK
M何も言えなくて…夏
Nもう一度…
(インタビュー映像/桜井幸子)
O冬が始まるよ/槙原敬之
PFirefly
Qもう恋なんてしない
 −アンコール−
Rどんなときも。
   2008.2.29 東京国際フォーラム

@DFHIMRがCD収録曲。
山根さん、中西さんのそれぞれ最後の曲名はわかりませんでした。
「もう一度、妻と歌おう」のコピーでしたが、結構私のように一人で来ている方も多かったです(男女共)。
通算で300回以上コンサートに行っていますが、このように複数のアーチストが出る形式の物には初めてでした。

多数の名曲がある槙原さんですが、私のお勧めは1996年発売のアルバム『UNDERWEAR』収録の「PAIN」。
見慣れない自転車が駅前に増えた
来る人帰る人が持ち帰った夢を
この場所で支えられるうちは
僕の郵便番号は1から始まる

のところがとても印象的です。
(歌詞に郵便番号が出てくる歌は、これ以外にはちょっとないのではないでしょうか。ちなみにこの当時はまだ5ケタでした)


@1991 権力への懐疑−憲法学のメタ理論 日本評論社(現代憲法理論叢書)
A1992 テレビの憲法理論−多メディア・多チャンネル時代の放送法制 弘文堂
B1996 憲法 新世社(新法学ライブラリ2) 
       2001 2004 2008 2011 2014 2018
C1999 憲法学のフロンティア 岩波書店 
       2013 岩波人文書セレクション
D2000 比較不能な価値の迷路−リベラル・デモクラシーの憲法理論 東京大学出版会
       2018 増補新版         
E2004 憲法と平和を問いなおす 筑摩書房(ちくま新書)
F2006 憲法とは何か 岩波書店
G2006 Interactive憲法 有斐閣(法学教室ライブラリィ)
H2006 憲法の理性 東京大学出版会
       2016 増補新版
I2009 憲法の境界 羽鳥書店
J2010 憲法入門 羽鳥書店
K2010 憲法のimagination 羽鳥書店
L2011 法とは何か−法思想史入門 河出書房新社
       2014 増補新版
M2011 続・Interactive憲法 有斐閣(法学教室ライブラリィ)
N2013 憲法の円環 岩波書店
O2017 憲法の論理 有斐閣
P2018 憲法の良識−「国のかたち」を壊さない仕組み 朝日新聞出版

憲法
1992 憲法(1)−統治機構 戸波、松井、安念 有斐閣(Sシリーズ)5/20
1992 憲法(2)−人権 戸波、松井、安念 有斐閣(Sシリーズ)  10/20
2006 これが憲法だ! 杉田敦 朝日新聞社
2008 みんなの憲法入門−爆笑問題のニッポンの教養 +太田光、田中裕二 講談社
2016 憲法と民主主義の論じ方 杉田敦 朝日新聞出版
2017 ナチスの「手口」と緊急事態条項 集英社 石田勇治
憲法とは何か 国会 地方自治
人権とは何か 参政権 国務請求権

1995 リーディングス現代の憲法 日本評論社
2001 憲法本41
2003 ●リスク学入門3
      新装増補 2013
2007 ●岩波講座憲法6 憲法と時間
2010 人権の射程 人権論の再定位3
2014 ●岩波講座現代法の動態1 法の生成/創設
2014 「この国のかたち」を考える
2015 検証・安保法案 : どこが憲法違反か有斐閣
2016 安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義 有斐閣
2017 注釈日本国憲法(2) 有斐閣
2017 論究憲法−憲法の過去から未来へ 有斐閣

2000 憲法判例百選T・U 第4版 芦部信喜,高橋和之
      第5版 2007   高橋和之 石川健治
      第6版 2013   石川健治,宍戸常寿
2001 ○放送制度の現代的展開 有斐閣 舟田正之
2002 ◯法システム3 情報法 宇賀克也  
       2006
2004 ケースブック憲法(ケースブックシリーズ) 中島徹, 赤坂正浩, 阪口正二郎, 本秀紀
      2007 2010 2013
2004 ●公共哲学12 法律から考える公共性 金泰昌 編
2005 ●メディアと制度 ダニエル・フット 融ける境超える法4 渡辺浩,江頭憲治郎 編集代表 東京大学出版会 
2005 メディア判例百選 有斐閣 堀部政男編
2009 憲法の理論を求めて−奥平憲法学の継承と展開 中島徹
2011 憲法理論の再創造 辻村みよ子
2012 国家と自由・再論 樋口陽一,森英樹,高見勝利,辻村みよ子
2012 ◯情報法 有斐閣 宇賀克也 
2013 現代立憲主義の諸相 高橋和之先生古稀記念 上・下 安西文雄宍戸常寿
2015 憲法の基底と憲法論−思想・制度・運用 高見勝利先生古稀記念 岡田信弘,笹田栄司
2015 安保法制の何が問題か 杉田敦 編
2015 自由の法理 阪本昌成先生古稀記念論文集 松井茂記 渡辺康行 編
2016 憲法と民主主義を学びなおす−立憲デモクラシー講座 山口二郎 杉田敦
2017 憲法の尊厳−奥平憲法学の継承と展開 樋口陽一,中島徹
2018 国家と法 石川健治、,辻村みよ子

情報法の概観 =宇賀 内田貴(2006は山本豊に代わる)佐伯仁志 他全6人全員と、2002,06のみ
憲法上の諸原則 放送制度 通信制度


2003 ジェレミー・ウォルドロン著 立法の復権−議会主義の政治哲学 愛敬浩二 谷口功一 訳
2014 H.L.A.ハート 著 法の概念[第3版] 筑摩書房

最新更新日:2018年7月16日(月・祝)=海の日
                   本日の管理人=藤沢・八部球場にて、母校・県立七里ガ浜高校の夏の甲子園・南神奈川予選の初戦を観戦。
                             12−2の6回コールドで横須賀大津高に勝利!
                             「今日は海の日。打線がビックウェーブを起こした」=千葉部長のコメント(翌日の神奈川新聞より)
                             次は18日、横浜薬大スにて、昨年1回戦で延長10回サヨナラ負けを喫した山手学院高との再戦。
                             (山手の勝ち上がりの相手だった横浜市立桜丘高には、今年東京大学から日本ハムに入団した
                              宮台康平投手の弟さんがいたので、そちらとの対戦でも良かったですが)

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